この春から夏の貴重な経験を記してみます。
3月、仕事中に喀血し、病院に行きました。
多くの検査の後、出た診断は肺がんでした。
進行度はステージⅢbと医師の告示を受けました。
余命は一般に5年生存率20%程度ですが、今回の場合、1〜2年との見立てでした。
ヤバイです、ピンチです、棺おけに片足つっこんだ状況でした。
誰しも考える様に、家庭のこと、仕事のこと、所持時計の行く末(笑)色々と頭の中
をよぎる件は少なくありませんでした。
ここから本題です。
窮地に立つ時計マニアが蒐集した時計の処置をどうしたか?
高額品(1930年代後期のパティックフィリップカラトラバやロレックスバブルバックのセクターダイヤルetc…)はその手のマニアの集まる信頼の置ける専門店にて、委託販売により売却しました。
希少品ながら金額的にソコソコな時計は、友人のスニーカーマニアに破格値にて譲りました。
私の手に残したのは、ライフワーク的な気分で蒐めたブルーサファイア穴石の腕時計の数点と、約40年近く共にしたセイコークォーツダイバー7548-7000、ティソのオートマタオルゴール懐中時計でした。
残した理由は、青石腕時計は苦労して蒐めたマニアとしての執着(笑)、クォーツダイバーは実用品として永く共に過ごした愛着、ティソの懐中時計はリピーターなどと違い、希少なアンティークとかではないのですが、人形が動きながら、オルゴールが鳴るという時計趣味らしい楽しさがあり、家族に遺すには佳い品かなとの想いからでした。
貴重な品は信頼の専門店により、また時計を大事に扱う友人の手により、次の時代へ受け継がれるだろうと安堵の思いでした。
しか〜し、ここから私の復活劇が始まるのです!
厳しい抗がん剤治療、放射線治療により、手術不可能と宣告された浸潤度の深い癌の腫瘍も含めて、消滅したのです。
主治医の話によると、極稀ながら、化学療法や、放射線治療に非常に高い親和性を持つ体質の患者が見られるそうで、ラッキーな事に私もその一人だったのです。
こうなったら現金なもので、「皆んな、時計返して〜!」と叫びたいものですが、手放したものはしょうがないです。新たな持ち主のもとで大切に時を刻むでしょう。
と、言いながらも入院中に安価な時計を幾つか、ポチッとやりまして、病院内のATMから出金、病院内のコンビニから支払いとおバカなヤフオク野郎な私でした。
結論としては、貴重な蒐集時計の殆どは失いましたが、命は残りました。
時計は本当に気に入った品だけを手に入れて、拾った残りの人生を共に楽しめれば、時計マニアの人生としては幸せかなと改めて想う現在です。
身体の回復も順調で、治療の副作用はまだまだ残りますが、元気に職場復帰もでき、先日の最終的な診断により、あとは経過観察のみで大丈夫、もし今後再発があっても治療に親和性の高い体質により、手術も必要としない
優位性があり安心ですよと、主治医よりお墨付きをいただきました。
これを読んだ皆さん!くれぐれも時計断捨離は、はやまらないようにお薦めします(笑)